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水先案内人のおすすめ

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話題作、アート系作品を中心に

恩田 泰子

映画記者(読売新聞)

アメリカン・ユートピア

必見、という一言で済ませたくなるほど素晴らしい音楽ドキュメンタリー。デイヴィッド・バーンが2019年秋からブロードウェイで連続上演したステージを、スパイク・リーが撮った。歌、ダンス、言葉に彩られたショーを通じて、私たちは世界を再発見することになる。 最初に舞台上に現れるのは、バーンひとり。次第にバンドが増えてきて・・・という流れは、トーキングヘッズ時代の名作『ストップ・メイキング・センス』と奇しくも同じ。また、演奏される21曲のうち、少なからぬナンバーが以前発表されたものなのだけれど、印象はまったく異なる。 がらんとしたステージ上にいるのは、人だけ。コードも固定された楽器もない。ダンサー/シンガー、そして演奏者が、少しずつ集まってきて、自由に踊り、自由に奏でる。そして時折、バーンが語る。すると、どうだろう。知っているはずの歌が、以前とまったく違ったようにきこえる。すべての曲がつながって、トランプ政権下で広がった分断への異議申し立て、多様性への賛歌となって胸を打つ。それは本当に新しい体験。 ステージ終了後に至るまで、折に触れて映し出される客席の様子も、とてもすてきだ。

21/5/2(日)

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