評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!
ドキュメンタリーの面白さを知ると映画の見方が変わる
村山 匡一郎
映画評論家、大学講師
犬は歌わない
21/6/12(土)
シアター・イメージフォーラム
1957年に打ち上げられた旧ソ連の「スプートニク2号」。この人工衛星にはライカという犬が搭乗し、宇宙に向かった初の生物として当時世界的な話題となった。ところが、ライカが人工衛星の帰還の際に燃え尽きて亡くなったこと、またこの犠牲となった雌犬がモスクワの街を彷徨っていた野良犬だったこと、さらにその背景に旧ソ連の「スペース・ドッグ計画」という宇宙開発競争のための戦略があったこと、などはあまり知られていない。そんなかつての宇宙計画の映像に、現在のモスクワの路上を歩き回る野良犬たちの姿を重ねて描いたユニークなドキュメンタリーだ。犬の目に映じる人間社会とはどんなものか、人間という傲慢な動物が抱く欲望とはどんなものかなど、詩的でシュールな映像が問いかけてくる。
21/6/3(木)