ご本人も、このプログラムを完走するのがどんなことなのか、弾き終えたときどんな感情を抱くのか、想像がついていないのではないでしょうか。 横山幸雄さんによる、ベートーヴェンの32曲のピアノ・ソナタ全曲演奏会。土日の二日間で全てを演奏するという企画です。 横山さんといえば、2010年のショパン生誕200年の年、ショパンのピアノ独奏曲を1日で全部弾く公演で音楽ファンをびっくりさせています。しかしそれは、この企画からつい最初に思い浮かべがちなもの…“耐久レースに挑戦”的なことではなく、なんとかしてさらに深く作曲家の音楽に入って行くための試みだというのが、真意のようです。その方法が若干ぶっとんでいるのは、底なしのエネルギーを持つ横山さんならでは。 今回も、ベートーヴェンが生涯かけて極めたピアノソナタの全貌をいっぺんに味わうことで、その真髄に迫ります。生誕250年の締めくくり。クールな分析力、卓越したテクニックと感性で奏でられる32のソナタが、ベートーヴェンの偉大さをあらためて教えてくれるでしょう。

20/11/27(金)