渡邊順生は愛蔵のオリジナルのフォルテピアノを使ってコンサートを行うことで知られる。 今回は1818年にウィーンの製作家ナネッテ・シュトライヒャーが作った楽器でのベートーヴェン・プログラム。この楽器こそベートーヴェンを夢中にさせて創作意欲をかき立てたものだ。ソナタに加え、藤村俊介を迎えてチェロ・ソナタ第4番やピアノ・トリオ「大公」を演奏する。 その音は一度聴いたら虜になること間違いなし。ソロも伴奏もアンサンブルも格別の効果を発揮する。18世紀後半以降の小型のピアノの繊細さと、19世紀中期以降の楽器が持つ力強さを併せ持ち、実に魅力的で表現力に富んでいる。 　 生誕250年の楽聖が求めた本当の音色に浸りたい。

20/10/10(土)