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水先案内人のおすすめ

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クラシック、歌舞伎、乱歩&横溝、そしてアイドルの著書多数

中川 右介

1960年生まれ、作家、編集者

砕け散るところを見せてあげる

原作の小説を未読なので、何が「砕ける」のだろうと思いながら観ていたが、タイトルは具体的でありながら抽象的なものだった。 学園ものの装いをし、実際、舞台は高校、主人公は高校生なのだが、現代社会が抱えるさまざまな問題が描かれる。だが告発調でもない。 最初は学校での「いじめ」の話かと思ったが、それだけではなく家庭内暴力や介護の問題も出てきて、さまざまな暴力が主人公の二人を襲う。 主演の中川大志と石井杏奈が、日常から絶望、絶望から希望へと変化する二人を好演。血と涙の物語だが、熱くならないのがよい。中川大志が高校生は無理なのでは、と思ったが、昨年公開予定だったのがコロナで延期になったとのことだから、撮影は一昨年か。危惧したことはなく、高校生に見える。脇役で出ている清原果耶も主役を演じるようになっている。若い俳優は成長がはやいから、コロナでの一年延期は、観るほうにちょっとした戸惑いを感じさせる。 劇中で原田知世が展開する「ヒーロー論」が微笑ましい。

21/4/7(水)

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