終わりのない悪夢は、いつ覚めるのか。 相続した叔母の家に移り住むことになったシングルマザーと双子の姉妹ヴェラとベス。本作はその不気味な新居に到着したその日に母娘を襲う一連の悲劇を描いたサスペンス・ホラーだ。 監督を務めたのは『マーターズ』でホラーファンにその名を印象づけたパスカル・ロジェ。『マーターズ』を知っていればその生々しい容赦のなさも想像に難くない。ただ、本作は監督自身が言うように、極めて「主観的な見解」についての物語となっていて、観客の「客観」と「神経」を切りつけてくる繊細で鋭い凶器のような作品に仕上がっている。 そこにあるのは一人の少女の罪悪感と恐怖による“逃避”そして“回帰”の寓話。陰惨の中にも微かな希望が見える限り、心を奪われずにいられない。

19/8/7(水)