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古今東西、興味のおもむくままに

藤原えりみ

美術ジャーナリスト

【閉幕】北澤美術館所蔵 ルネ・ラリック アール・デコのガラス モダン・エレガンスの美

アール・ヌーボーのガラスコレクションで知られる北澤美術館(長野県諏訪市)の所蔵品による、20世紀初頭にパリを中心に展開したアール・デコ様式を代表する宝飾デザイナー・ガラス工芸家ラリックの展覧会。アール・デコ様式の内装の施された旧朝香宮邸(現在の東京都庭園美術館)の邸内空間に同時代の作品群が違和感なく溶けこみ、ラリックのデザインによる宮邸正面玄関のガラス製レリーフ扉、大客室と大食堂のシャンデリアとも共振し合う。当時の最先端の美術様式で統一された、お金持ちの邸宅に招かれたような、贅沢な気分に浸れる展示空間となっている。 初期の宝飾デザインから晩年の花瓶に至るガラス作品やデザイン画まで、300点を超える展示の充実度は並々ならぬレベル。今更ながら北澤美術館のコレクションの質の高さに舌を巻く。さらに、他館の所蔵品による、皇太子時代の昭和天皇がヨーロッパから持ち帰った日本初のラリックの花瓶や鍋島直泰侯爵所蔵のカーマスコット、大正時代から昭和初期にかけて日本にもたらされたラリックを含むガラス工芸品や資料など、日本とラリックをめぐる展示セクションも秀逸で、ガラス好きにとっては見逃せない好企画。見応えたっぷりなので時間に余裕をもって出かけたい。 

20/3/29(日)

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