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水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
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音楽は生活の一部、映画もドキュメンタリー中心に結構観ています

佐々木 俊尚

1961年生まれ フリージャーナリスト

メモリーズ・オブ・サマー

1970年代のポーランドを舞台にしていて、建物やインテリア、人々の服装など古い時代の社会主義国っぽさにまず惹かれる。あの時代には無粋だと思われていた東欧の無機質な雰囲気が、今となってはレトロで美しい。 主人公は12歳の少年。外国に出稼ぎに行っていて不在の父親と、夜になると必ずでかけていってしまう美人の母親。そして母親の不在中に訪ねてきて、無言のままの中年女性。出稼ぎから帰ってきて、何かを察する父親…と、いっさい何も説明されないんだけれど、「大人の事情」が子どもはすべてわかってしまい、そしてもちろんその事情を観客もすべてわかってしまう。誰もが自分たちの置かれてる状況をすべて察しているのだけれど、でも誰もはっきりそれを言えないし、言わない。そのなんともいえなく切なくもどかしい感じが、なんだか非常に日本人の心象に合う感じで、なんとも言えずしみじみと共感できた。小津安二郎が好きな人ならきっと感動できる作品だと思います。

19/5/29(水)

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