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巨匠から新鋭まで、アジア映画のうねり

紀平 重成

1948年生まれ コラムニスト(元毎日新聞記者)

鵞鳥湖の夜

『薄氷の殺人』でベルリン国際映画祭金熊賞を受賞したディアオ・イーナン監督が、グイ・ルンメイと再びタッグを組んだノワールサスペンス。この二人が組めば成功は間違いなし。事実本国の中国では初登場2位を記録する大ヒットとなりました。 ヒットの要因は何かといえば、中国のアンダーグランドの犯罪組織や底辺で生きる人たちの現実をリアルにあぶり出しただけでなく、光と影のコントラストを追走劇など様々なシーンに多用する革新的演出が観客の目を引きつけるからです。また清潔感あふれるグイ・ルンメイを物憂げで謎に満ちた女に見事変身させた手法にも意図するものを感じました。美しい女は影を入れてこそ美しいというイメージの“ずらし”でしょうか。 このずらしは警察の包囲網が狭まる中、男女が麺を食べるシーンでも形を変えて見られます。いつ立ち上がり逃げ出すことになってもおかしくない状況にもかかわらず麺の中に薬味(豆板醤?)をたっぷり入れるのです。思わず笑ってしまいました。あるいは警察が大きな成果を上げて記念写真を撮る場面。まさかそんなことしないでしょという“常識”を茶化していくのです。

20/9/22(火)

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