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水先案内人のおすすめ

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ギャラリーなどの小さいけれども豊かな展覧会・イベントを紹介します

白坂 由里

アートライター

大・タイガー立石展 POP-ARTの魔術師

「ニャロメ!」という響きが脳内再生される。赤塚不二夫と親交があり、その言葉をつくった人でもあるアーティストのタイガー立石(1941-98)。和製ポップアートのさきがけとして活躍した彼の大回顧展が開催中だ。 本名の立石紘一から名前を変え、90年代以降はマンガや絵本は「タイガー立石」、絵画や彫刻は「立石大河亞」名義で発表した。新聞や雑誌で活躍した頃のナンセンス漫画、ミラノに渡り、マンガ表現を絵画に取り入れた「コマ割り絵画」。ピカソら巨匠たちをモチーフとした陶立体。そして政治・社会的事象や文化や娯楽のイメージをコラージュのように描いた明治・大正・昭和の巨大三部作が圧巻だ! その名のとおり、「虎」のモチーフが多い。なかでも1989年の絵画『百虎奇行』は、虎の骨格に沿ってリボンをくるくる巻いたような螺旋空間が、パヴィリオンのような構造物にも見えるユニークな作品。手前には、スイカのような球体と虎の円環が描かれている。これは絵本『とらのゆめ』にも出てくるおなじみのモチーフで、さまざまな表現形態をくるくると操る象徴のよう。彼にとってはジャンル間に境界はなく、等価にあり、有機的につながっていったのだろう。『ぴあ』読者にはもってこいの展覧会。

21/5/21(金)

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