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いまみるべき1本を毎日お届け!
一瞬がすべてを救う映画、だれも断罪しない映画を信じています
相田 冬二
ライター、ノベライザー
慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ
19/6/8(土)
ユーロスペース
夢のつづきがみたくって、二度寝したことはありますか? 夢のつづきはみれましたか? わたしはみれませんでした。みたいと思うけれど、夢のつづきをみたことなんて、人生で一度もありません。 夢のつづきは、たぶんみれるものではないのだと思います(ひょっとしたら、そういう才能に恵まれているひともいるのかもしれないけれど)。夢のつづきはみれない。だから、わたしたちは今日も生きているのだと思います。どんなふうになるかは分からない。思うとおりにはいかないかもしれない。でも「いま」のつづきを体験することはできる。生きてさえいれば。 ひとりの男の、まるで夢のような旅の行方を綴った映画です。つづきがない、という意味で、夢と旅は似ています。つづかない。あるとき、それはおわる。必ず、おわる。そして、おわったとき、それが夢だったことを、それが旅だったことを知るのです。 とりとめのないことが、心地よくもあり、切なくもある、この不思議な映画は、映画にも、つづきがないことに気づかせてくれます。夢の、旅の、映画のつづきを現世でみれることはできません。けれども、受けとめることはできます。 おそらく、観たひとによって解釈がとても違ってくる映画だと思います。あなたなら、どんなふうに受けとめますか?
19/6/5(水)