南米チリから、とんでもない映画がやってきた。 物語はひとりの女性の淡々とした日常描写とともに展開していく。といって、決して地味ではない。 ダンス、セックス、そして火炎放射。主人公のエマはド派手な行動をとり続ける。はっきり言ってぶっ飛んでいる。 明らかに彼女は何かを抱え、そして何かを目指している。それはなかなか見えてこない。 それでも、彼女のキャラクターと作品世界のミステリアスさにグイグイ引き込まれて、頭の中は「？」だらけなのに全く目が放せない。 そして、最後に彼女の行動の目的が明らかになるのだが、その時、思わずニヤッとした。 これまでなんとなく当然のことだと思い込んできたモラルも常識も、人が幸せに生きる上では実はただの幻影に過ぎないのではないか……。闘いの果てに彼女が得たものに気づいた時、そう突きつけられた。

20/9/30(水)