カンヌ、ヴェネツィア、ベルリンという世界三大映画祭の常連にして、フランス映画界の巨匠フランソワ・オゾンの最新作『Summer of 85』は、自身が17歳の時に出会い深く影響を受けたイギリス人作家エイダン・チェンバーズが1982年に発表した青春小説『おれの墓で踊れ』の映画化。1985年夏のフランスを舞台に、運命的な出会いを果たしたふたりの美しい少年の恋と別れを描いたものだが、何か事件を起こしたらしい主人公アレックスへの事情聴取が進む現在と、アレックスがダヴィドと出会い恋に落ちていった思い出の6週間というふたつの時間を交互に描いていくやり口がオゾンならではで、色鮮やかでノスタルジックな映像美とザ・キュアーの代表曲『インビトゥイーン・デイズ』やロッド・スチュワートの名曲『セイリング』といった曲の使い方も申し分ない。オゾン監督がオーディションで見出した、アレックス役のフェリックス・ルフェーヴル、ダヴィド役のバンジャマン・ヴォワザンの瑞々しい魅力も必見だ。

21/8/11(水)