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演劇鑑賞年間300本、記者歴40年のベテラン

大島 幸久

演劇ジャーナリスト

こまつ座『父と暮せば』

劇作家井上ひさし氏のメッセージは、歴史から学ぶこと、決して忘れてはいけないことがある―この二つが最大の主題だった、と思う。60歳の時に書いた『父と暮せば』はそれが詰まっている。平成6年(1994)に初演されて以来27年。父と娘の二人芝居で、その間、5組の組み合わせで上演されてきた。3年ぶりの今回が6組目。父親・福吉竹造が山崎一、娘の美津江が伊勢佳世。2018年の前回でコンビを組み、山崎は読売劇大賞優秀男優賞を受けた。1945年夏に原爆投下された3年後の広島が舞台だ。自分だけが生き残ってしまった。父も友も亡くなってしまった。幸せになってはいけないのだ、と恋を諦める娘に父親は励まし、語りかける。「戦争」、「ヒロシマ」を忘れてはいけない。亡き人を忘れてはいけない。亡くなって11年。井上氏の“声”を忘れてはいけない。

21/5/11(火)

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