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巨匠から新鋭まで、アジア映画のうねり

紀平 重成

1948年生まれ コラムニスト(元毎日新聞記者)

ブータン 山の教室

ヒマラヤ山脈の標高4800メートルにある村ルナナで首都ティンプーから来た若い教師と村の子どもたちの交流を描いたブータン映画です。変貌著しい都会で育ったウゲンはオーストラリアに渡りミュージシャンになることを夢見ています。そんな彼が上司から言い渡されたのはルナナ村の学校への赴任です。自信がないと一度は断ったものの雪で閉鎖される冬になるまでという妥協案は飲まざるを得ません。険しい山道を登り1週間以上かけてたどり着いた村は電気も通わず、学校には黒板もノートもありません。元の生活に戻りたいと思うウゲンでしたが子供たちの一人が「未来に触れることができるので将来は教師になりたい」と目を輝かせるのを見て、胸の内で何かがはじけるのを感じます。 「国民総幸福の国」と言われるブータンですが、実際にはスマホを手放さないウゲンのように若者は近代化した都会に住みたがってるようです。ブータン出身で本作が初メガホンのパオ・チョニン・ドルジ監督は雄大な自然をバックに村人の慎ましい暮らしぶりを描きながら、本当の幸せとは何かを我々に考えさせてくれます。最初は村の暮らしや人々の語らいがあまりにも純朴過ぎて少々居心地は悪かったのですが、突然理由もなく涙がこぼれ出し慌てました。

21/3/25(木)

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