チャレンジングな役柄でその演技力で映画ファンを魅了してきたトム・ハーディは“カメレオン俳優”としての地位を『カポネ』で決定的なものにするだろう。 史上最も有名なギャングスター、アル・カポネはカメレオン俳優の先輩役ロバート・デ・ニーロが『アンタッチャブル』で見事になりきっていたが、知られざる最晩年の日々を描いたジョシュ・トランクの新作『カポネ』でトム・ハーディは本当にカポネが乗り移ったかのような成りきりぶりで観る者を1940年半ばのフロリダ州パーム・アイランドの広大な私有地へとトリップさせてくれる。 そこにいるのはかつて“暗黒街の顔役”と恐れられた威光をすっかり失ってしまったカポネ。製作陣には『パルプ・フィクション』『イングロリアス・バスターズ』のローレンス・ベンダーが名を連ね、撮影監督は『マルホランド・ドライブ』『キャビン』の名手、ピーター・デミング。脇を固めているマット・ディロンもカイル・マクラクランも抜群のハマリ方で、本当に魅力のある“大人の映画”になっている。

21/2/22(月)