子供思いだけれど逃げた妻に執着する父親は酒に溺れ、妻は暴力男の愛人にべったり。そんな親を持つ15歳の娘ビリーと11歳の弟ニコ。父は大好きなビリー・ホリデーの名を娘につけ、幼いままにしておきたくて美しい髪を強引に刈る。『イン・ザ・スープ』など、インディーズ映画の人気監督アレクサンダー・ロックウェルが自分の子供2人と母親役にパートナーのカリン・パーソンズを使って撮った。子供たちの世界はモノクロームで貧しく、物悲しげだが、光がフッと差し込む瞬間があって子供の成長を見守ることの幸せを見せてくれる。時おり差し込む人生の光のようにカラーになり、一瞬輝く映像。詩的でやるせなくてなんだか素敵。美しい。

21/10/15(金)