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水先案内人のおすすめ

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木谷 節子

アートライター

GENKYO 横尾忠則  原郷から幻境へ、そして現況は?

いわゆる「画家宣言」をしてから約40年、その前のデザイナー時代も含めると、約60年にも及ぶ横尾忠則の画業を、集大成的に紹介する大回顧展。 愛知県美術館から始まった巡回展だが、横尾本人が監修を手掛け、300点を入れ替えたという東京展では、約500点もの作品がひしめいている。とにかく作品の圧がハンパないので、行かれる方は、まず十分に腹ごしらえして、時間をたっぷりとって行かれたし。 さて、作品のタイトルにある「原郷」とは、前世の記憶にもつながる人間の魂のふるさと、そこから湧き出る豊かなイメージが「幻境」ということで、本展でも横尾の「原郷」ともいうべき幼少期の強烈な印象や、摩訶不思議な異界への誘い、宇宙や死を暗示する幻想的なヴィジョンなど、様々なイメージを見ることができる。 唯一の立体作品に、洞窟のような空間に世界各国の滝の絵葉書を貼り巡らした《滝のインスタレーション》があるが、鏡面仕上げの床の上に立つと、地底に吸い込まれていくような感覚に陥る。 実は本展自体がこんな感じで、まるで横尾忠則のイメージうずまくブラックホールだ。一歩足を踏み入れたら、押し寄せる「原郷」&「幻境」のイメージに圧倒されるしかないのである。

21/8/11(水)

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