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映画史・映画芸術の視点で新作・上映特集・映画展をご紹介

岡田 秀則

1968年生まれ、国立映画アーカイブ主任研究員

アレックス・コックス映画祭

今こそこのニホンのスクリーンに甦るべき、筋金入りのパンク野郎、監督アレックス・コックス。いつから聞かなくなった名前だろう。でも忘れることは絶対にない。 やけに凶々しいのに後味は爽快きわまる『レポマン』の衝撃的な結末、ジョー・ストラマーやら誰やらみんながユルい西部劇を祝祭のように楽しんでいる『ストレート・トゥ・ヘル』、そして、若い警察官の訓練を捉えた冒頭シーンから血がたぎってしまう苦くて鮮烈な傑作『エル・パトレイロ』。コックスの作品は、古典的な名作映画には敬意を払っているが、誰にも飼い慣らされたりしない、純度の高いインディペンデントだ。思えばグローバリズムを敵視するコックスは、2002年に来日した時、スターバックスやら多国籍資本の店々が街にあふれる東京の風景にも毒づいていた。 この特集でひとつ残念なのは、19世紀の南米を舞台にしつつ現代のアメリカ政府に強烈なアイロニーを浴びせた最高傑作『ウォーカー』が上映されないことだ。それでもコックスの映画は、自分が実は世の中に怒っていたということを改めてリマインドしてくれる貴重な存在だ。もし一本だけというなら、まずは『レポマン』を観ていただきたいと思う。

19/9/10(火)

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