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水先案内人のおすすめ

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セレクト方針はズバリ!「バランス」です

木谷 節子

アートライター

眠り展:アートと生きること ゴヤ、ルーベンスから塩田千春まで

日本の国立美術館から「眠り」に関する作品を集め、絵画から映像まで幅広いジャンルの作品約120点を紹介する展覧会。古くは国立西洋美術館が誇るルーベンスの《眠る二人の子供》から、新しくは塩田千春や内藤礼の現代美術までが、平野篤史氏のグラフィックとトラフ建築設計事務所のデザインによる、夢かうつつか、寝室の中にいるようなオシャレな展示空間に並んでいる。ひとことに「眠り」といっても、ただ「瞳を閉じて、夢を見て」というそのものズバリの「眠り」だけでなく、「抵抗としての眠り」とか「目覚めを待つ」など、「眠り」に関する様々な事象や連想から、柔軟に作品が集められている。そんななか「この作品も入るのか!」と思ったのが森村泰昌の《烈火の季節/なにものかへのレクイエム(MISHIMA)》。50年前、作家の三島由起夫が市ヶ谷駐屯地で行った演説をパロディとしながら、森村自身が現代の美術界に檄を飛ばす作品だ。今までも森村のパフォーマンスや、三島との関係性などを考えながら観てきた本作だが、「目覚めよ!」と人々を覚醒させようとする森村(三島)と、それにもかかわらず眠っているかのように無反応(無理解)な相手、という二者の対比を明確に意識して観ることなんてなかったなあ。テーマでくくることで、作品の見方の幅が広がるという点が面白かった。

20/12/13(日)

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