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水先案内人のおすすめ

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この映画を観ると世界がわかるという作品を

池上 彰

1950年生まれ ジャーナリスト、名城大学教授

愛しの母国

去年は中華人民共和国の建国から70年。中国はどんな歴史を歩んできたのか。 この映画は70周年を記念して中国現代史の7つのエピソードをオムニバス風に描きます。 いわゆる「愛国映画」ではあるのですが、それぞれのエピソードを名もない庶民の視線で描いているところがミソです。 とりわけ建国式典の裏側のドタバタは、中国にとって極めて重要な出来事であるにもかかわらず、ユーモアたっぷりに描き、中国映画の“成長ぶり”も感じさせます。 中国初の核実験成功のエピソードは日本人として納得できず、文化大革命など中国にとっての負の歴史は当然のことながら描かれていないのですが、オリンピックで女子バレーの金メダル獲得に人々が沸き立つところなど、1964年の東京オリンピックを髣髴とさせます。貧しさを脱し、豊かになりつつある国はどこも同じなのだなと感じさせます。 香港返還(中国風に言えば香港回収)の描き方を見ると、中国は絶対に香港を手放そうとしないことがわかってしまいます。 日本人の目で見ても、映画の出来栄えはなかなかのものですが、中国人は、きっと涙なくしては見られないでしょう。

20/10/27(火)

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