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水先案内人のおすすめ

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現代の名人芸を追い続ける

山本 益博

1948年生まれ 料理評論家、落語評論家、プロデューサー

OH!江戸寄席 タクトの世界指揮者人名辞典

もうかなり前のことだが、NHK-TVでベートーヴェンの『運命』のダダダダーンの指揮ぶりの違いを映像で見せてくれたことがあった。登場したのは、確かトスカニーニ、カラヤン、岩城宏之など。棒の振り方や顔の表情が違うと、それがオーケストラの演奏にまで影響する。楽団の指揮者は拍子をとるだけの存在ではないのだ、とういうことが如実に表れて、とても面白かった記憶がある。 好田タクトは、これを寄席芸としてやって見せる不思議な芸人である。小澤征爾、カラヤンならば寄席にくる客は知っているかもしれないが、朝比奈隆、チェリビダッケは、すでに故人ということもあるが、ほとんど知らない客ばかりだろう。 それでもかまわず、約2時間の指揮者形態模写の独演会を開くのだという。無理、無茶、無謀に思えるのだが、タクトの音楽にのせての渾身の棒振り芸を見ていると、客は知らない指揮者、知らない音楽に引き込まれてゆく。指揮者のライヴを知る私は、面白くてしょうがない。 彼のフェイスブックを見ていると、時間を見つけてはコンサートを聴くため、オペラを観るためにホールに通っている。好きな作曲家は、モーツアルト、ベートーヴェンではなく、プロコフィエフ、ショスタコーヴィッチ、バルトークだという。ずいぶんユニークな色物芸人がいるもんだ。

21/10/1(金)

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