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水先案内人のおすすめ

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日本の舞台のほか韓国演劇、フィギュアスケートにも関心あり

上野 紀子

演劇ライター

『常陸坊海尊』 KAAT神奈川芸術劇場プロデュース

『近松心中物語』『元禄港歌』等で知られる秋元松代さんの戯曲『常陸坊海尊』を、長塚圭史さんの演出で上演。まずタイトルの漢字の羅列にウッ、歴史モノ? 難しそう……と思ってしまったアナタ、それでスルーしてしまうのは大間違いです。東北に残る常陸坊海尊の伝承(源義経の家来である海尊が、義経最期の戦いから逃げて生き延び、不老不死になった……という説話)をベースに、戦中戦後の市井の人々、戦争孤児たちの生活に見る差別、格差の問題を鋭く描き出した物語。……って書くと余計に眉間にシワかもしれないけれど、その想像をいい意味で裏切るストーリー展開の面白さ、奥深さをぜひ味わっていただきたい。キーウーマンであるイタコの“おばば”を演じるのは、1997年(22年前!)上演の蜷川幸雄・釜紹人演出による本作でも同役を演じた白石加代子さん。おばばの孫娘、雪乃を中村ゆりさんが演じますが、この雪乃が男を狂わす色香の持ち主なんですね。“生”とともに“性”にも斬り込んだ描写が秋元戯曲の真骨頂。さて長塚さんの策はいかに!? 音楽をDJとして活躍中の田中知之(FPM)さんに、ムーブメントを“第二の海尊”役で出演もする平原慎太郎さんに任せているところも注目必至です。

19/12/7(土)

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