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水先案内人のおすすめ

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話題作、アート系作品を中心に

恩田 泰子

映画記者(読売新聞)

燃ゆる女の肖像

セリーヌ・シアマ監督『燃ゆる女の肖像』は、18世紀フランスを舞台にした2人の若い女の肖像だ。その2人とは、ブルターニュの孤島で暮らすエロイーズ(アデル・エネル)と、その肖像画を描くために雇われた女性画家マリアンヌ(ノエミ・メルラン)。肖像画は、エロイーズの縁談を進めるために、母親の伯爵夫人(ヴァレリア・ゴリノ)が依頼したものだが、モデルと画家は恋に落ちる。祭りの夜、燃え盛る焚火を囲んで、島の女たちが歌う。逃げられない、と。この闇の中の炎の情景のなんと素晴らしいこと。やがて別れの時が来ようとも、2人は己の感情に従う。愛の物語であり、女たちのドラマ。望まぬ結婚を強いられるエロイーズばかりでなく、マリアンヌもまた、女であるがゆえの制約に直面している。それでも、愛する、表現する。その生き方は、現代を生きる私たちの胸をも焦がすのだ。

20/12/4(金)

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