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水先案内人のおすすめ

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洋画、邦画、時々アニメ 映画で人生が変わります

堀 晃和

ライター&エディター。記者歴27年、元産経新聞文化部長。映画と音楽と酒文化が守備範囲。

アンナ・カリーナ 君はおぼえているかい

2019年12月14日、アンナ・カリーナが癌でこの世を去った。享年79歳。日本の新聞各紙が伝えたのは12月16日の朝刊だった。ほとんどが1段見出しだけの“ベタ記事”。その後の追悼記事も全国紙では1紙が載せたぐらい。仏ヌーベルバーグのミューズ(女神)と呼ばれた大女優なのに扱いはこんなものなのかと寂しい思いをしていただけに、本人が出演して人生を振り返るドキュメンタリーの公開はうれしい。 デンマークの首都コペンハーゲン生まれ。両親はすぐに離婚し、孤独だった少女が17歳でパリに出てきたあと、どのようにしてスターの座に駆け上がるのか。生い立ちや名声を獲得していく様子が克明に描かれる。 ハイライトはやはり、映画の世界に導いた監督ジャン=リュック・ゴダール(89)との出会いだろう。『勝手にしやがれ』(1959年)の出演を依頼されるが、脱ぐことを期待されたため辞退した挿話が面白い。その後、結婚生活をともにしたゴダールの映画には7本に主演。2人の映像や各映画の場面が散りばめられ、追悼にもふさわしい内容だ。「振り付けは、ボブ・フォッシー!」と踊りながら声を上げる『女は女である』(1961年)の名シーンがまぶしい。

20/6/9(火)

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