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水先案内人のおすすめ

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新進女優や新たな才能にフォーカスした作品を中心に紹介

イソガイマサト

フリーライター

あのこは貴族

同じ空の下で同じように息をしているのに、人は育った家や環境によって、それぞれまったく違う価値観や生活スタイルで生きるようになる。当たり前のことだが、山内マリコの同名小説を岨手由貴子監督が自らの脚本で映画化した本作は、そのことを視覚に訴える形でまざまざと気づかせてくれた。 東京の上流家庭で生まれ、何不自由なく成長した“箱入り娘”の華子と、富山で猛勉強して東京の名門大学に入学したものの家庭の事情で中退を余儀なくされる“上京組”の美紀。正月の過ごし方に始まる生活習慣や作法、結婚観や物の見方まで、何もかも違うふたりの世界が生々しく炙り出され、交錯し、決められたレールの上を歩くそれぞれの苦悩や息苦しさがじわじわと伝わってくる。そこでは、ああ、こういう世界で生きている人もいるんだ! という発見もあって、自らの生き方を見つめ直すきっかけにも。 素朴な役どころが多い門脇麦が華子を、華やかな印象が強い水原希子が美紀を演じたキャスティングも絶妙だ。パブリックイメージとは真逆の役でのふたりの共演が、本作のストーリーが私たちの生きている世界と地続きであることに説得力を与えている。

21/2/22(月)

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