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ドキュメンタリーの面白さを知ると映画の見方が変わる
村山 匡一郎
映画評論家、大学講師
アメイジング・グレイス/アレサ・フランクリン
21/5/28(金)
ル・シネマ
「ソウルの女王」として知られたアレサ・フランクリン。その彼女が1972年にロサンゼルスのバプティスト教会で行った2夜にわたる公演を記録したドキュメンタリーだ。この公演は彼女のアルバムのためにライブ収録されたが、同時に16ミリで撮影され、複数のカメラがライブを追っている。企画にはシドニー・ポラック監督が参加したが、撮影に際して映像と音を同期させる指標を欠いていたため、結局は公開されることがなかったといわれ、デジタル技術で公開に至ったのは40年以上経てからである。アレサ・フランクリンのゴスペル・ソングの素晴らしさばかりか、後方の観客席にミック・ジャガーらの顔が見え、当時の公民権運動に揺れるアメリカ社会の音楽シーンを垣間見ることができるようで興味深い。
21/5/10(月)