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三鷹市芸術文化センターで、演劇・落語・映画・狂言公演の企画運営に従事しています

森元 隆樹

(公財)三鷹市スポーツと文化財団 副主幹/演劇企画員

ゆうめいの座標軸 『俺』『弟兄』『あか』

昨年10月、劇団「ゆうめい」には『姿』という作品で、筆者が従事する三鷹市芸術文化センターのMITAKA“Next”Selection企画に参加していただいた。作家の池田亮にとって、今まで連綿と描き続けてきた世界観のうち、「家族」という切り口の集大成とも言える作品に昇華しており、一見シンプルながら人間関係を雄弁に映し出していく舞台美術や、その舞台美術を掌中に入れた上で導く斬新な演出力とスタッフワーク、そして様々なパートを担った役者たちのダイナミック且つ繊細な演技力によって、多くのお客様から支持をいただくことができた。折しも、過去に例を見ない勢力で日本列島に上陸した台風の影響で、終盤の2日間、計4公演を中止にせざるを得ないなどアクシデントにも見舞われたが、収録映像のネット配信や、急遽の追加公演の実施など、想像力を駆使してのお客様へのアプローチを実施、三鷹のホールとしても微力ながら力添えしていき、ともに力を合わせたことは有難い経験であった。 その「ゆうめい」が『姿』の次に挑む公演が、『ゆうめいの座標軸』である。劇団HPに 今の「ゆうめい」に至るまでの軸となる代表作『弟兄』『俺』『あか』を再演します。自分や他者の体験に対して別々のアプローチを経て作り上げた別軸の3作品を通して、より立体的に“ゆうめいの今までとこれから”を楽しんでいただければ幸いです。 と記されているとおり、過去に評判となった3作品の上演を、現在の座標軸として彼らは選んだ。 <<<>>> 『弟兄』 克服できない嫌〜な体験から生まれてしまった話。 2017年のゆうめい代表作となってしまった話。 『俺』 2015年にゆうめいの初公演となった二人芝居。 今回は新たにギュッとまとめて一人芝居にて上演。 『あか』 祖父の絵を展示しながら実の親子が出演。 2020年版では別の親子も出演し、別の家族へ伝わっていく。 <<<>>> これら3作品の上演の成果はもちろんのこと、この公演を経た後に、彼らの座標軸に書き込まれる[次なる点や線]が、どこに、どのように書き加えられていくのか興味がそそられる、その意味でも見逃せない『ゆうめいの座標軸』である。

20/3/3(火)

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