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ドキュメンタリーの面白さを知ると映画の見方が変わる
村山 匡一郎
映画評論家、大学講師
記憶の戦争
21/11/6(土)
ポレポレ東中野
半世紀前のベトナム戦争では軍隊による民間人虐殺が起きた。米軍によるソンミ村虐殺事件は有名だが、参戦した韓国軍もフォンニ村で住民を虐殺した。そんな凄惨な事件の生存者たちの証言を通して、戦争犯罪を問いかけるドキュメンタリーだ。『きらめく拍手の音』のイギル・ボラ監督はじめ女性スタッフが村を訪れ、家族を失ったタンさんや聾唖者のコムさんらを取材、また韓国で開かれた“市民法廷”に証人として出廷するタンさんを追う。女性スタッフのためか、ベトナムの人たちも心を開いている印象がするが、テーマは重い。人類の長い歴史のなかで戦争が無辜の民を犠牲にしてきたとはいえ、ベトナム戦争における自国の軍隊による虐殺を問いかけ、平和と未来について静かに訴える映像世界は心に響く
21/11/6(土)