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日本で(多分)一番多くの映画を観る(年間800本!=新作、旧作も入れると…)映画評論家

野村 正昭

映画評論家

女たち

「女たち」の間に、化学反応の火花が散る。 要介護の母親・美津子(高畑淳子)と二人暮しのヒロイン・美咲(篠原ゆき子)は、恋人(窪塚俊介)から理不尽に裏切られ、幼なじみの親友・香織(倉科カナ)の突然すぎる死で、心のダムは決壊寸前を迎える。そして、自暴自棄で娘に当たり散らす母親と、愛憎入り混じった壮絶なバトルを繰り広げてしまう。 最初は一見平穏に見えていた美咲が、のっぴきならない状態にあることは、彼女と周囲との何気ないやりとりでも綿密に描かれている。内田伸輝監督は、余分な贅肉を削りとり、ひたすら登場人物の心理を注視し、美しい自然との対比の中で、それはさらに浮き彫りにされる。美咲だけではなく、自死に至る香織を捉える眼差しは、あくまで繊細で、そこに作者たちの誠実さが垣間見える。サヘル・ローズら映画を支える助演者の存在も好ましい。

21/5/11(火)

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