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水先案内人のおすすめ

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時代劇研究家ですが趣味は洋画観賞。見知らぬ世界に惹かれます。

春日 太一

映画史・時代劇研究家

ジャッリカットゥ 牛の怒り

なんなんだ、これは! 観終えて、思わずそう叫びたくなった。 特にラスト30分。とんでもないテンションの高さが展開されていくのだが、あまりに高過ぎて何がなんだか分からなくなる。が、それにこちらも巻き込まれてなんだか楽しくもなる。土俗的な祭事に参加したかのよう。 舞台はインドの片田舎。食肉として解体されるはずの水牛が逃走したことで起きるパニックが描かれる。ただ、これまでパニック映画で人を襲ってきた鮫や熊や怪獣と異なり、今度の相手は牛。草食動物なので積極的に人を襲うことはしない。 が、その牛が畑を踏み荒らし、宗教施設や記念碑などを次々と破壊して回ったため、人々は捕獲に躍起になる。 こんな田舎になんでこんなたくさんの人がいるのか!……と驚くくらい、とんでもない大勢が牛を追い回す。でも、牛に反撃されると我先にと逃げる。誰も役に立たない。なのに人数ばかりが増えていく。そして追いかける人々のテンションはどんどん上がっていき、相手は牛一頭にもかかわらず謎のスペクタクルとして映し出される。 とにかく、牛一頭のためにここまで必死になるかという、異様な物語。このハイテンション牛追い祭に参加した後は、高揚感と虚脱感が渾然一体となって心地よくてたまらない。

21/6/27(日)

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