Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

一度逃したら再び観る機会がないかもしれない、ちいさな芝居を中心に

釣木 文恵

演劇ライター

ミズタニーのベストセレクション『米つぶサイズの地球』テアトロコントSpecial

かつて、野鳩という劇団があった。藤子不二雄マンガの非日常感を舞台上に乗せたかのような、面白くてやさしい、でもどこかおかしな作品を上演していた。 活動期間は2001年から2016年。途中、活動を休止していた時期もあったが、ナカゴーがこの劇団を惜しみ、合同公演をきっかけに活動再開した、という経緯もある。 野鳩のような演劇は他になかった。だから活動休止は惜しいと思った。けれど、演劇は作り手が作りたいと思い、場所を借り、その気持ちに賛同するキャストとスタッフを集めて初めて作られる、とても手間のかかる表現方法だ。いち観客がどれだけ望んでも、本人がやることを決め、この手間をすべてクリアしなくては観ることはできない。 だから、野鳩主宰の水谷が再び、「ミズタニー」というユニット名で演劇をつくると聞いたときは思わず声が出た。お笑いから2組、演劇から2組、それぞれ30分の演目を上演するライブ『テアトロコント』でだけ芝居をつくるという。初回を楽しみに観に行った。それが、初めて見た頃の野鳩を彷彿とさせるものだったのだ。面白くてやさしくて、おかしい。本当にうれしかった。そこには、やがて『カメラを止めるな!』で一躍有名になる濱津隆之も出演していた。彼は野鳩の後期、レギュラーのように出演していた俳優だった。 今回は、テアトロコントで上演された短編を集めて上演するという。もちろん濱津も登場する。ブレイク後の濱津の活躍を目にして、やっぱり彼の魅力は水谷がいちばん知っている、と思う。 ミズタニーは次にいつ上演を行うかわからない。希少性からいっても、ぜひ見逃さないでほしい作品だ。

20/3/21(土)

アプリで読む