すべてがCGでリアルに再現される中、ディズニーのお家芸である昔ながらのアニメ技術が生む豊かで愛らしい表情が見えてホッとする。口の動きに使われる繊細な特撮技術なども素晴らしいが、斬新なアイデアに魅了されたブロードウェイ・ミュージカル版を見てしまったすれっからしの大人としては物足りなくもある。ジョン・ファブローの演出は彼の前作『ジャングル・ブック』の成功が背中を押したはずで黒ヒョウと人間の友情を可能にしたCGがここで生きた。そしてここにある「サークル・オブ・ライフ」、命は巡る、という壮大なメッセージ。無鉄砲な子ライオンが成長して父王の跡を継ぐ姿には素直に心打たれた。子供心を幸せにしてくれる映画だ。

19/8/5(月)