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水先案内人のおすすめ

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洋画、邦画、時々アニメ 映画で人生が変わります

堀 晃和

ライター&エディター。記者歴27年、元産経新聞文化部長。映画と音楽と酒文化が守備範囲。

カゾクデッサン

タイトル通り「家族」のあり方を独自の視点で描いた秀作だ。 「家族」は、映画や文学でよく扱われるポピュラーなテーマ。昔から多くの作品が、この“ありふれた題材”をもとに生み出されてきた。裏を返せば、それだけ多くの人が興味をもって観たくなるということなのだろう。 頭に浮かんだのが、小津安二郎監督(1903〜63年)の作品だ。あるときはちゃぶ台を囲んで、あるときは居酒屋のカウンターで、親族ゆえの複雑な感情を伴った人間模様がスリリングな演出で描かれていた。 『カゾクデッサン』にも、そんな関係性が緊張感をもって描写された優れたシーンがある。元ヤクザの剛太(水橋研二)は、恋人の美里(瀧内公美)が営むバーを手伝っている。そこにある日、元妻・貴美(中村映里子)の息子・光貴(大友一生)が現れる。貴美が交通事故で意識が戻らないため、剛太に声をかけてもらいたいのだという。光貴の父・義治(大西信満)には、どうやら内緒のお願いらしい。 狭いバーの中で、剛太はどこに立ち、どこに座り、光貴と向かい合うのか。2人の視線は、どう交錯するのか。作品を観て、バーの中で繰り広げられるやり取りを見つめてほしい。どの俳優の演技も心を打つ。

20/3/19(木)

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