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水先案内人のおすすめ

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パール兄弟、作詞家、プロデューサーとして、音楽を中心に活動中

サエキけんぞう

ミュージシャン

ジョジョ・ラビット

ヒトラーは当時の子供にとってはビートルズよりもはるかに強力なアイドルだったかも? そんな禁断の問いかけに応えた映画だ。ビートルズのドイツ語版『抱きしめたい』を使い、ナチス下に信じられないほど輝いたドイツ国民たちの実映像を用いて始まるというタブーに挑戦し、見事に成功した。 10歳のジョジョは、父の代わりに空想上の友だちとなったアドルフ・ヒトラーの幻影と遊びながら戦争の狂気に向かう。ジョジョの心に住んだヒトラーは、時にヒョウキンに、時に包容力をもって彼を誘導する。 ローマン・グリフィス・デイビス演じる幼いジョジョの愛くるしい魅力がまず素晴らしい。母親役のスカーレット・ヨハンソンは、その吟味されたファッションと共に妖しい魅力を放つ。当時流行ったワグナーなど美しい音楽や、少年兵訓練の様子など、心理操作を当時の若者のような感覚で受けとめられる。ナチスの技術に目をそむけず、本物の戦争のように不意をつく展開が凄い。デヴィット・ボウイのドイツ語版曲も起用し、画期的な選曲で衝撃のエンディングを迎える。 愛くるしいユーモアとファンタジー、そしてショックと共に前向きな平和への祈りを我々現代人の心に与えてくれる、素晴らしい作品。再現映像の技術と、洗練された映画愛が進化し、たどり着いた最高の作品、後味さわやか、心にジーン! 老若男女に、ぜひ観ていただきたい!

20/1/18(土)

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