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水先案内人のおすすめ

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クラシック、歌舞伎、乱歩&横溝、そしてアイドルの著書多数

中川 右介

1960年生まれ、作家、編集者

モーリタニアン 黒塗りの記録

政府関係の文書が公開されない、公開されても「黒塗り」になっているのは、日本だけではないようだ。しかも、民主主義のお手本のはずのアメリカで。 9.11テロの犯人探しにやっきになるFBIは、北アフリカのモーリタニアに住む男を首謀者として捕らえる。無実を訴える男の弁護を引き受けるのが、ジョディ・フォスター。 その容疑者を死刑にすべく起訴を担当する軍の中佐が、ベネディクト・カンバーバッチ。 2人は別の立場から真相を突き止めようとする。モーリタニアの男は真犯人なのか、それとも冤罪なのか。 2人の名優の対決シーンは少ないが、そのシーンは、まさに「大スターの激突」といった緊張感のあるシーンとなっている。アクションでの対決ではない。表情だけで勝負する心理戦・神経戦を、見事に演じている。 モーリタニアの男が収容されているのはキューバのグアンタナモ米軍基地で、陽光輝く風景と、収容所内の無機質な暗さとのコントラストが見事。 そこでの拷問を含めた尋問も、観ていて辛くなり、痛さを感じるほど、リアル。 アメリカという国家を批判する内容の映画だが、カンバーバッチはプロデュースし、出演もした。主演を引き受けるフォスターも含め、社会性を失わない大スターたちには敬服しかない。 そして、こういう危険な題材をサスペンスフルな、退屈しない娯楽映画に仕上げた、監督たちの力量も素晴らしい。

21/10/22(金)

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