青春が終わらなくなった時代の、永遠に続く青春の、その一瞬を丁寧に描く。 主人公たちは高校卒業から10年たって、ひとりの交通事故死をきっかけに集まる。その日から翌朝までの物語で、随所に高校時代の回想シーンが入る。前田敦子や高良健吾は、回想シーンも自分で演じる。30前後の俳優が高校生を演じても違和感がないのが、現代の「歳を取らなくなったアイドル」を象徴してもいる。彼女たち自身も「終わらない青春」を生きている。 その前田敦子の徹底的な「普通さ」が、見どころだ。 物語はファンタジーになりかけるが、ならない。ファンタジー現象を、あるがままに受け止め、現象の謎を追求しないところに、不思議なリアリズムがある。 昔観た特撮映画の、怪獣や宇宙人の出ないシーンだけを集めたような、そんな懐かしさもある。 大阪府茨木市のご当地映画なのだが、どんなところなのか何も知らなくても、楽しめた。

19/9/16(月)