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水先案内人のおすすめ

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ノージャンル、ノーボーダー。個人的アンテナに引っかかるもの

佐藤 久理子

パリ在住、文化ジャーナリスト

ファーザー

本作で2度目のアカデミー賞主演男優賞に輝いたアンソニー・ホプキンスが素晴らしいのは確かだが、どこが凄いかと言えばそれは、名優然としているのではなく、“こういう老人、いるいる”といたって普通に思わせるところだ。笑っていたかと思えば急に不機嫌になり、自分の腕時計が見当たらないと居ても立ってもいられない。薄れゆく記憶の中で、自分独自の現実に生きているので、周りはついていけない。 老いの悲しみを身体ごと表現する彼に、思わず視線も心も釘づけになる。 だが本作の醍醐味はそれだけではない。映画ならではの表現を駆使して、ときに父親の視点で、その記憶の混乱を観客に生々しく伝える。たとえば時間の反復、娘役をふたりの女優に演じさせ異なることを言わせる、といった具合に。自身の舞台劇を映画化したフロリアン・ゼレールは、映画デビュー作にも拘らず重量級のものを作りあげた。

21/5/7(金)

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