現代アートがかなり高額の値段で取引きされている現在、アートの値段と価値はいったい何によって測られるのだろうか、という疑問が浮かぶだろう。たしかに資本主義経済下では芸術作品が金銭に換算され、株と同様に投機対象になるのは当然だといえるとはいえ、アートの値段がそのままアートの芸術的な価値に結びつくことは別問題だろう。そんなアートの値段とその価値をめぐって、現代社会における芸術作品のステータスの謎を追った面白いドキュメンタリーだ。サザビーズでのオークション風景を中心に、その美術部門の責任者、アーティスト、コレクター、ギャラリスト、批評家などの証言から構成されて刺激的であるが、それでもやっぱり「どうして？」という疑問は残る。

19/8/13(火)