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水先案内人のおすすめ

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テレビプロデューサー テレビは見ずに演劇、映画、コンサートばかり足を運んでいる

波多野 健

1954年生まれ プロデューサー(イースト・エンタテインメント)

プライベート・ウォー

世界の戦争地域へ出かけていくジャーナリストたちは一体どんな気持ちで赴くのか? ロンドン「サンデー・タイムズ」のマリー・コルヴィンはスリランカで銃撃を浴び、片目を失った。以来黒の眼帯がトレードマークになった彼女は心に傷を負いながらも、何度も戦地へ足を向けた。最後は2012年に56歳という若さでシリアで命を落とすまで、コルヴィンが求めたものは何だったのか。監督は今までドキュメンタリー映画を作ってきたマシュー・ハイネマンで、レバノンで撮影された映像は作ったものとは思えない。実際にシリアからの難民たちもエキストラとして参加しているというが、彼らはどのような気持でこの映画に加わったのかにも心が動く。『存在のない子供たち』の心に重く響く感じが、この映画にもあった。 コルヴィンを演じたロザムンド・パイクが素晴らしい。コルヴィンは常に戦場で身構えていたため、パイクもその体勢を身につけるようになって、「私も撮影中に身長が1.5センチ縮んだの」と笑いながら語ったという。実際に彼女を知る仲間はパイクを見て、「髪形やメイク、眼帯だけじゃない。彼女の立居振舞いまで瓜二つだった」と絶賛している。 日本では戦地に行くジャーナリストの評価が賛否別れるが、やはり戦争の実態を世界に知らせたいという思いは尊いものだと思う。それにしても、「どうして人は殺し合うんだろうか?」という疑問が、またも浮かんでは心の底に引っかかっている。とても、お薦めです。

19/9/9(月)

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