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水先案内人のおすすめ

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音楽は生活の一部、映画もドキュメンタリー中心に結構観ています

佐々木 俊尚

1961年生まれ フリージャーナリスト

解放区

“若者のリアル”を撮影したいとドキュメンタリー作家を目指すテレビ制作会社の若者が大阪・西成のドヤ街へと向かう。それに同行する引きこもりの中年男性というありがちな設定。そして当初は大阪市からの助成対象だったが、内容をめぐって市と太田信吾監督が対立し、公開できないまま“幻の映画”となっていたという経緯。 そうした事前知識だけだと“怪作”的なイメージを持ってしまうが、実際に作品を鑑賞すると、素晴らしいライブ感となんとも言えない緊張感があり、最後まで引き込まれるように見入った。これは紛うことのない傑作である。 撮影する側、報道する側の当事者性とは何か。第三者の視点で本当に“リアル”なんて描けるのかというずしりと重いテーマがあり、それが衝撃的かつ反社会的な結末へと必然的につながっている。加えて、是枝裕和『万引き家族』にも通じる現代のアジール(避難所)というテーマが低く響いてきて、圧倒された。

19/10/16(水)

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