ライブコンサートをただ映像化しただけなのに、異様に引き込まれてしまう魔力を持っている。おそらくその魔力の本質は、“身体感”だ。デイヴィッド・バーンとそのメンバーはおそろいのグレーのスーツにグレーのシャツ、そして全員が裸足。パーカッションもキーボードも肩と背中にがっちり固定する器具を使って身体と一体化しており、無線で音響装置と接続されていて、ステージにはケーブルが一本もない。なにもないシンプルでフラットなステージを、彼らはまるで小学生の鼓笛隊のように踊り、走り回るのだ。 画面いっぱいに描かれる彼らの身体が、バーンの音楽に特徴的なアフリカンリズムと相乗し、スクリーンを観ている観客の側もその身体感覚の中へと巻き取られていく。バーンは言う。「一番大切なモノ以外を排除する。僕らと皆さんだけ。それがこのショーです」。究極のプリミティブかつパワフルな作品。

21/4/28(水)