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水先案内人のおすすめ

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エンタテインメント性の強い外国映画や日本映画名作上映も

植草 信和

1949年生まれ フリー編集者(元キネマ旬報編集長)

蘇る神代辰巳

『棒の哀しみ』10/14、10/20、10/26 シネマヴェーラ渋谷 特集「蘇る神代辰巳」(10/12〜11/1)で上映 『棒の哀しみ』と『仁義なき戦い』は、共に“ヤクザ映画の極北”に位置する存在として、分かちがたく結びついている。作風は動と静、大作と小品と対極だが、ヤクザに仮託した人間の実相に迫ったという点では同類なのだ。 「棒のように生き、棒のようにくたばる」。親分の命じるまま行ったり来たりで刑務所に計8年、そんな独り言が癖になったヤクザの生き様を描いた神代辰巳監督の遺作として忘れることができない傑作。 北方謙三の原作小説は、第一部で主人公田中の行動を三人称で、第二部で田中の一人称という構成をとった実験的かつ重いハードボイルド。男の屈折した人格と心情が、短編連作という体裁によって、くっきりと浮かび上がってくる異色作だ。 その原作を神代的に咀嚼。刺し傷の縫合シーンやテレビで放映されている『恋人たちは濡れた』のワン・シーンに、神代監督の作家魂のようなものを感じる。

19/10/12(土)

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