Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

エンタテインメント性の強い外国映画や日本映画名作上映も

植草 信和

1949年生まれ フリー編集者(元キネマ旬報編集長)

欲望のディスクール

『カモとねぎ』(6/29〜7/5) シネマヴェーラ渋谷 特集「欲望のディスク―ル/金と色が織りなす人間模様」(6/8〜7/5)で上映 松木ひろしと田波靖男のオリジナル脚本を、谷口千吉監督が珍しく洗練されたタッチで見せる肩の力が抜けたプログラム・ピクチャア的コメディ。公害問題、青少年へのポルノ規制、ベトナム戦争関連などなど60年代を感じさせるような時事ネタもいくつか織り交ぜているが、重くならず軽くならずのバランスが実にいいのだ。 名優・森雅之が税務署員・新聞記者・市役所の小役人・インテリヤクザなどを軽妙に、ユーモアたっぷりに演じているのが最大の見どころだ。そんな森に惹かれるのが緑魔子演じる女スリ。東映作品ではなかなかお目にかかれなかったキュートな泥棒猫キャラで、出て来るたびにファッションもヘアスタイルも変わる七変化は文句なく楽しめる。 脇役陣も凄い。人間国宝だった故桂米朝師匠、公害に苦しむ親の面倒を見る健気な娘に桜井浩子(『ウルトラマン』のフジ・アキ子隊員)、キャバレーの支配人に藤村有弘、エロ社長に東野英治郎、売れない歌手にロミ山田、正体不明の怪し気な男に小沢昭一、そして、若々しい山岡久乃が風紀運動に熱心な堅物の女性を演じて笑わせてくれる。 『コンフィデンスマンJP』のアイデアと『ルパン三世』のユーモアを足して二で割ったような快作、といえば褒め過ぎかな。

19/6/27(木)

アプリで読む