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Tak

美術ブロガー

『地中海人ピカソー神話的世界に遊ぶ』展

根津美術館、岡本太郎記念館にほど近い南青山6丁目に昨年(2020年)に開館したヨックモックミュージアムの開館記念第二弾展。コロナ禍にオープンしたため館の存在もまだ広く知られていませんが、地下1階から地上2階の空間に展示室とカフェスペースまで兼ね備えた「一戸建て」の立派な美術館です。【2階・地下階:展示室、1階:カフェ(カフェのみ利用可)・グッズショップ(ショップのみ利用可)・ライブラリー(ライブラリーのみ利用不可)】。 30年以上かけ収集してきた500点以上もの世界有数のピカソのセラミック作品が、ヨックモックミュージアム・コレクションの柱となっており、世界で有数のコレクションのひとつです。一般的にピカソが陶磁器制作に携わっていたことはあまり知られていませんが、第二次世界大戦後の1947年から1973年に亡くなるまで、数千点にものぼる作品を制作しました。簡単な平皿から複雑な形態の花瓶や水差しなどその種類は多種多様です。 フランス南部のヴァローリスにあるマドゥラ工房でラミエ夫妻の協力を得て、ピカソは楽しみながらセラミック制作を行ったことが「地中海人ピカソー神話的世界に遊ぶ」展全体を通して感じ取れます。またキュビズムなど二次元作品では表現に限界があるモチーフも立体物となるとピカソの想像の幅が大きく広がり、自由闊達に作り上げていった様子を伺うことができます。 正直ピカソ作品は苦手といった方でも、彼の手掛けたセラミック作品ならきっと前向きに観られるはずです。自由の象徴である鳥たちや、大好きだった闘牛など、モチーフとされているものから生の喜びが時を超えて伝わってきます。 なお、2階展示室は自然光が差し込む美術館としては稀な空間となっています。これも釉薬が施されたセラミック作品だからこそ可能な展示です。また地下1階の展示室にある小さなお菓子を描いた油彩画は必見です。併設されている「カフェ ヴァローリス」で鑑賞の余韻に浸りながら、ゆったりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。南青山の隠れ家的美術館ヨックモックミュージアムへ足を運んでみてください。

21/10/30(土)

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