今や邦画を牽引する名脚本家のひとり、足立紳が監督までこなした超快作。なかなか売れない脚本家（濱田岳）をその気丈な妻（水川あさみ）が徹底してしばいてまわる。ひとえに甘えがちなダンナを奮い立たせる思いやりが根っこにあってのことながら、とにかくその愛のムチが痛快。そしてダンナのほうの描写では、足立脚本ならではのユーモアとペーソスが炸裂して、「男のダメさ加減」がこれでもかと描かれ、男性客は胸に手をあててクスクス笑いをし、女性客は「これだから！」と共感の爆笑をすることだろう。観る者の顔面に押し寄せてくるようなラストの衝撃波については口が裂けても書けないが、コロナ禍でクサクサした気分を一蹴する笑いと怒りのオンパレードである。

20/9/10(木)