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水先案内人のおすすめ

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日本映画注目作を中心に、旧作上映まで幅広く

樋口 尚文

1962年生まれ 映画監督、映画評論家

日本独立

あの『さそり』シリーズの伊藤俊也監督が83歳にして放つ新作は、1998年の『プライド 運命の瞬間』の姉妹篇のごとき作品だ。『プライド』が東京裁判にあって問答無用で敗戦国を排撃しようとする連合国に対し、東條英機は最後まで筋を貫いたとする作品であったが、かと言って東條を賛美する映画でもなかったところがミソだった(大雑把なジャーナリズムはそう曲解したが)。もともと『日本国憲法』なるタイトルだった本作も、GHQ主導による新憲法制定プロセスの拙速ぶりをシニカルに描くところはあるし、総司令部の恫喝に怒りを表明する白洲次郎(好演の浅野忠信)をヒロイックに描くものの、「異議ありにこそ意義あり」がテーマで、アメリカの横暴を刺すというより「異議を失った」現在の日本人をこそ撃っている。特殊メイクの小林薫の吉田茂そっくりさんぶりには驚いた。

20/12/15(火)

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