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歯に衣着せない辛口コメントが人気のクラシック業界ご意見番

東条 碩夫

音楽評論家

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第341回定期演奏会

ショスタコーヴィチの交響曲で最も多く演奏されるのは「第5番」だが、彼の真価を発揮しているのは、むしろ「第4番」と「第8番」であることは、多くの研究的な愛好家たちの意見の一致するところだ。 独裁者スターリンの圧政下で恐怖の弾圧に苦悩していた彼の本心が、激烈で陰翳に富む音楽の中に秘かに語られ、聴き手が息をのむほどの迫力にあふれているからである。「8番」は、1943年、第2次世界大戦中の作品。壮烈に突進する第3楽章の音楽も凄いが、悲劇的な咆哮のあとに謎めいた余韻の終結が来る第5楽章も不気味だ。 高関健が指揮する東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の真摯な熱演には定評がある。これは定期公演で、当初はヴェルディの「レクイエム」が予定されていたのだが、新型コロナ感染対策として大合唱を伴う作品は避けざるを得なかった。だがそれに替わるこの「タコ8」は、素晴らしい聴きものである。プログラムは他にモーツァルトの「パリ交響曲」。

21/3/19(金)

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