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日本で(多分)一番多くの映画を観る(年間800本!=新作、旧作も入れると…)映画評論家

野村 正昭

映画評論家

コロンバス

監督の名前は、コゴナダ?奇妙な監督名の由来は、小津安二郎作品には欠かせない脚本家の野田高悟から命名したという。韓国ソウル出身のこの新人監督は、これまでに小津やブレッソン、ヒッチコック、ゴダールについてのビデオ、エッセイを発表してきたそうだが、しかし、この作品は、そうした映画的知識をひけらかすわけではなく、小津作品に特有のローアングルや、切り返しなどといった手法も使われていない。モダニズム建築の街コロンバスを舞台に、韓国系アメリカ人のジンと、母の看病を理由に、建築の仕事に就く夢を諦め、この街に留まり続ける図書館員のケイシー、二人の会話を淡々と描くだけなのだ。その間合いから、じわじわと伝わってくるのは、孤独な人間の静かな息遣いだ。観客を選ぶタイプの映画だが、小津への真摯な思いは映画全体から確実に伝わってくる。

20/3/12(木)

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