19世紀のアメリカ。一人の女性が雑踏を駆け抜けて行く。彼女の名前はジョー、顔は希望に満ちていた。本作はオルコット原作『若草物語』の4度目の映画化。ボストンに住むマーチ家の四姉妹メグ、ジョー、ベス、エイミーは母と暮らしていた。小説家をめざす次女ジョーを中心に描かれる。冒頭の作家として喜びを全身で表現するジョー演じるシアーシャ・ローナンの瑞々しい感性と活力が、本作の魅力である。女性が結婚以外に経済的に独立するのが困難な時代、作家になり著作権も管理するまでになる彼女のがんばりには応援したくなる。また、四姉妹の個性によって衣装が色分けされてたり、ニューイングランド地方の美しい四季が、物語に彩りを添える。グレタ・ガーウィグ監督はこの古典を現代にも通じる女性の生き方にまでも踏みこみ、新鮮だ。これほど後味が良く、品のある作品はめったにお目にかかれない！

20/6/13(土)